キャンピングカーの魅力はなんと言っても時間に縛られないということに尽きると思う。
自由気ままに好きな時間に好きな場所へ旅することができ、そのうえ宿を予約する手間や宿泊代を節約出来るというメリットもある。
専用の就寝スペースにテレビや冷蔵庫、シンクが付いているキャンピングカーは動く夢のようなスモールハウスだ。
昨日の夜から出掛けて、とあるRVパークにキャンピングカーを停め、近くの温泉に入り、妻とビールで乾杯出来る至福のひと時が嬉しい。
ふと思い出していた。私がキャンピングカーを手にする前のこと。ゴールデンウィークに無謀な旅をしたことがある。
折角のゴールデンウィークだから、何処かに行きたいと思い、ひらめいたのが岩手県への車旅。宮沢賢治さんが好きな私はこの連休で妻と無計画な車旅に行くことに決めた。もちろん、無計画なので宿は現地で探ればいいと思い、宿の空き状況も調べることをしなかった。
金曜日の夜、仕事から帰ってから車に乗り込み、いざ出発!旅の準備だけは事前に済ませていたが他はすべてノープラン。ただ一つだけ決めていたことは、ゴールデンウィークの渋滞を避けるため、夜中に東北道を走る計画だけだった。
そして、スムーズに首都高速から東北道へ向かい、夜中のうちに岩手県に着く予定だった。
が、しかし!
首都高速に乗った瞬間にその予定は崩れて行った。首都高速は大渋滞、そしてその渋滞は東北道まで続き、太陽が昇る頃、やっと辿り着いたのは道半ばの仙台。
仕方なく朝の仙台駅近郊のモーテルで仮眠し、お昼前に再び岩手県へ向けて走った。
岩手県に着いたのは夕方で途中からシトシトと雨も降ってきた。そして、近くの宿をネットで調べ、電話で予約を取ろうとしたが、近くの旅館はすべて満室。宮沢賢治さんの故郷、花巻市をナメていた。
妻はもう諦め顔でBlueになり、「寒いし、この車で寝るなんて嫌だ」と少しキレ気味。いや相当キレていた。
宿を探すこと1時間、奇跡的にキャンセルが出たという宿を見つけることができた。「もうどこでもいいから寝られる場所がほしい」と強く思ったことを覚えている。
あの頃、キャンピングカーという存在すら、私の頭には全くなく、「やっぱり旅は計画的に事前に準備しないと駄目だ」と深く反省した。
いま、こうやって、ゆっくりビールを飲み、DVDデッキで好きなアーティストの音楽を観賞しているが、あの頃を思うとまるで別世界である。あの頃に反省した「旅は計画的に」のフレーズはもう私の頭には全く無く、いつでも自由に行きたい場所に行けるという、まるでドラえもんのタイムマシーンを手に入れた気分である。
キャンピングカーを手に入れてから、いろいろな場所に旅するようになった。昨年のゴールデンウィークは九州まで旅をした、その夏は北海道を旅した。宿は一切とらないすべて車中泊の旅。旅を重ねるたびにキャンピングカーの魅力は深まるばかりだ。
執筆 M